160年の計

自由世界の代表であるアメリカの象徴、アメリカ議会に容易に暴徒が雪崩れ込むという、ある種、象徴的出来事が起きました。

約160年前に市民内戦(南北戦争)の末、アメリカ理念の土台を築いたリンカーンも、約160年前に、そのアメリカの市民平等の合議制を知り四民平等の近代日本の扉を開けた坂本竜馬たちも、昨近の映像を見たらさぞ嘆くのではないでしょうか。竜馬やリンカーンならば集まった群衆を前に命懸けで演説をしたかもしれませんね。

南北戦争と明治維新(大政奉還)から約160年を経て、その役割を終了し、新たな時代に入りました。その新たな時代の始まりにあって約80年前、戦争後に生まれた日米宰相が苦しんでおられます。80年前の戦後の枠組みも、おそらく一定の役割を終えたのかもしれません。

昨年の三月、オリンピックの運営に変化が起きると、実は足元でとてつもないことが起きている可能性が高いと書きましたが、その一つが「160年前の終わり」と「80年前の終わり(石油社会の終わりのはじまりなどでしょうか)」と思っています。

終わりは始まり。次の160年が始まりました。まずは始めの40年。一年の計は元旦にありですが、次の160年の計が今年にあります。リンカーンも坂本竜馬も”身分制度”や”人種”に拘らない「平等」という現代の社会概念の礎を、場所は違いますが、160年前に造ってくださいました。

今後、「LGBT、夫婦別姓、格差、SGDs、AI、リモート、脱炭素(ゼロカーボン)」などなど新たな社会とどう生きていくのか。1200年以上前に伝教大師、最澄上人は平等や差別について、以下の御言葉を残されております。

「およそ差別なきの平等は仏法に順ぜず。悪平等のゆえに。また、平等なきの差別も仏法に順ぜず。悪差別のゆえなり。」
(意味)「様々な違いを認めない平等は仏の教えではなく、間違った平等である。また平等を認めないで差異を強調するのもまた仏の教えではなく、悪い差別である。」

160年をかけて、このより良い「平等」という概念を社会のシステムに組み込んで参りました。さて誠に重要な始まりのタイミング、次の160年後に通じるビジョンは何でしょうか。

合掌 常 範空 m(_ _)m

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