盂蘭盆施餓鬼会のお塔婆には
「皆蒙慈恩解脱憂苦」という偈文を書きます。
これは無量寿経の中にある言葉で、その文字の通り、すべてのものが苦しみから抜け出すことを願うものです。
常満寺におりますと不思議な経験をたくさん致しますが「皆蒙慈恩解脱憂苦」、どの諸霊にも往生し佛への道を歩んで欲しいと願い、お経をあげております。
「落ちる」ではなく「堕ちる」。
地獄界は自ら赴く場所なのかもしれません。
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写真の無縁佛の前で、数年以上前のある夜、
ご供養のためあるAさんとお経を上げておりました。するとAさんが拙僧の隣で途中でしゃがみ込んでしまいました。
Aさんはしゃがみこんで息も絶え絶えの様子のため、隣でAさんの背中をさすりながらお経をあげました。
程なく呼吸を整えAさんは立ち上がり、こう言います。
『「痛い、痛い」という思いが最初、頭に入ってきた。同時に髪の長い人が見え「女性かと思ったが、歪んだ表情を浮かべた甲冑を着た男の人だった』そして立っていられなくなる程に苦しくなったそうです。
Aさんの話から恐らく、Aさんに「痛い、痛い」という想いを伝えたのは大童の落ち武者。
江戸時代には戦乱はありませので戦国時代の、この尾張地方の戦乱で、刀により斬られたのか命を落とされ、この地域をまだ彷徨っている方ではないかと考えています。
そうだとすると数百年も往生できぬまま、あるいはせぬままに、「痛い、痛い」という思いを抱きながら彷徨い続けている方がいる。これも言うなれば「地獄」。その苦しみをわれわれに訴えて来られたのでしょう。
もっと早く真実を知り、往生できていれば、苦しみから救われるにも関わらず、数百年の時間をただ苦しむためだけに費やされてしまった。。あれから数年以上がたちますが是非、苦しみから解き放たれ往生をしていて下さればとお参りをしております。
今年も、実はそうした思いも込め、施餓鬼会を修めさせて頂きました。
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お釈迦様は地獄についてこう語られます。
「悪口(あっく)を言いまた悪意を抱いて人を誹る者は十万のニラルブダ地獄と三十六と五千のアルブダ地獄におもむく」
「偽りを語る人は地獄に堕ちる。またこの世で自分が言ったのとは異なった行いをなす人も、地獄に堕ちる。この両者は死後にひとしくなると説かれている、来世では共に下劣な業をもった人々なのであるから」
ー 法句経 ダンマパダ, ウッダーナヴァルガ ブッダ ー
