あるBさんという方のお爺ちゃんのご葬儀式の後の焼き場でのこと。お爺ちゃんの棺を焼き場の炉の前に運び、Bさんを含めて最後のお別れをしておりました。
Bさんのお爺ちゃんの棺の前には、Bさんのお父さん、お母さん、そしてBさんが並んでいます。Bさんのお母さんがお爺ちゃんの棺を前にして、
「お爺ちゃんなくなっちゃったね、お爺ちゃんスマホの使い方下手だったなあ」
と隣にいるBさんに話かけたその時、Bさんのお母さんのスマートフォンがブルブルっと震動しました。お母さんが「誰だろう?」と着信の主を確かめると。。。
着信の主は、なんと今、目の前の棺の中にいるお爺ちゃんからです。
「えっ?」最初、お母さんは何が起きているのか分からず怖くなり、Bさんに、その着信履歴を見せたそうです。そうするとBさんはお母さんに
「ああ、お爺ちゃん、これからあっちに行くってこと知らせてるんだよ、スマートフォンが使えるぞ!と言ってるかもね」と答え安心させてあげたそうです。
あとでBさん曰く「あれにはまいった。。」とのこと。誰かがお爺ちゃんの電話を使ってかけたのでは?と思われる方も多いと思いますが、亡くなられたお爺ちゃんのスマートフォンは既に段ボールの中に整理され電源が切られていたそうです。念のため電源を入れて後で確かめてみても、その時間にBさんのお母さんに電話がかけられた履歴はなかったとのこと。残ったのはお母さんのスマートフォンへのお爺ちゃんからの着信履歴だけだったそうです。
葬儀式は身体の死を迎えられた方に、これからあちらに行く心の準備をして頂く場でもありますが、供会一処、本当に人の魂というものは不思議なものであると感じます。われわれの知覚出来ているものは、本当にこの世界のひとつまみ程もないのかもしれません。
合掌 常満寺 範空
