「天将降大任于斯人也」(孟子)

今年もあと一日となりました。お世話になりました皆様、厚く御礼申し上げます。

今年もいろいろなことが起きましたが、やはりコロナがずっと底流にありました。果たしていつ終わるのか。どういう結末を向かえるのか。誰にも分かりませんが、不自由な思い、苦しい思いを皆等しくされていることと思います。このコロナウィルスやそれに付随する出来事をどう捉えるのか?ただの不幸や災難と考えるのか、罹患した個人のせいだと責めるのか、それとも次のステップへの入り口と捉えるのか、その考えかたの違いで将来の展望は変わってくるものと思います。

不安な時代、兎角、正義や正解らしきもの、もしくは自分がそう思い込めるものを求め、確からしそうな何かにすがりつきたくなるものですが、もともと人間の世界、人界ですから確たる正義や正解がある訳はなく、間違いばかりあるいは失敗ばかりでも仕方がありません。それを声高に誹謗もしくは叩きあうのでなく、目の前に光を見出しそこから如何に立ち上がっていくかが重要なのではないかと思います。コロナによってわれわれは天によって試されているのでしょう。そんな思いも込めて、今年最後に孟子のお言葉を紹介いたし、年末のご挨拶と致します。来年が皆様にとって良い年となりますようお祈り申し上げます。

合掌 常満寺 範空 🙏

天の将(まさ)に大任を是の人に降さんとするや、

必ず先ずその心志を苦しめ、その筋骨を労せしめ、

その体膚を餓えしめ、その身を空乏にし、

行いには其の為す所を払乱せしむ。

心を動かし、性を忍び、其の能くせざる所を曾益(増益)せしむる所以(ゆえん)なり。

孟子

(意訳)天がその人に重大な任務や大任を与えようとするときには、必ず先ずその人の精神を苦しめ、その筋骨を疲労させ、その肉体を飢え苦しませ、その行動を空回りさせ失敗ばかりするような大苦境に陥らせるものである。しかしそれは、天がその人の精神を鍛え、その人の忍耐力を増大させ、重大な任務や大任を負わせるに足る人物かを試し育てようとしているからである。

 即ち天が人に大きな仕事や重大な任務を任せる場合には、必ずその人を奈落の底に突き落とし厳しい試練を与える。それは大きな仕事を成し遂げる人物に育てようとしているからだ。こう考えることが出来れば、目の前にくじけそうな大きな困難が立ちはだかっても、それはわれわれもしくは自分自身の次の段階への試練であり、実は大いなる成長や変化の入口に立っているのだと前向きに捉えて前進することができるのではないでしょうか。